どーも、めみぃです。
先日、2年ぶりに国内旅行をしました。
愛媛を出るのも、夫と旅をするのも2年ぶり。
あの旅の感覚を味わえるのかと思うと、出発前夜は眠れませんでした。
あんなに高揚していたのは、大人になってから初めてではないでしょうか。
そんなことをしていたら、またまた記事の更新には期間が空いてしまったわけですが、エッセイは変わらず読んでおります。
今回おすすめするエッセイの舞台は、すべて海外です。
国内旅行デビューしてしまった今、海外旅行の夢までがどんどん膨らんできてしまって、まだまだコロナ禍から脱せていない現実とのギャップに悩まされる毎日です。
今はエッセイを読んで行先を見定めながら、いつの日か来る旅の日をじっと待っていようと思います…。
おすすめエッセイ5選
わたしの旅に何をする。/宮田珠己
まずご紹介するのは、旅・レジャーを中心に執筆している宮田珠己さんのエッセイ。
サラリーマン時代から大型連休には有休をくっつけくっつけ、上司から「大した根性だ」と褒められながら海外に繰り出していた、そんな彼の旅の記録です。
結局、旅するために大した将来の展望もない中会社を辞めた彼のその後にも注目いただきたいところ…。
この本のタイトルにある「わたしの旅に何をする」の意味は「この旅で何をしようかな~」ではありません。
いつも何かに巻き込まれて思い通りにいかなくて「わたしの旅に何してくれるんだ~」の方です。
まさに、そんな旅の連続なのです。
ふと気付いたら口元がにやけていることがあるので、読む場所を考えるか「絶対に人前ではにやけないぞ!」もしくは「人前でもにやけてやるぞ!」という固い意志を持って読むことをお勧めします。
ただ、おふざけの中にも哲学的な話がひっそりと身を潜めていて、読めば読むほど感心してしまうのです。
インドネシアでは自意識過剰なおばはんと出会い、トルコでは睡眠薬の入った紅茶を前に寝たふりをかまし、カトマンズでは観光地になっている火葬「パシュパティナート」について思いを巡らせる…。
このくらいの割合で哲学かましてきます。
ほぼ、しょーもなエピソードということです。
そんなしょーもなエピソードの中にも、このエッセイを読まなければずっと知ることがなかったかもしれない、世界の事情が綴られていて、楽しめることは間違いなしです。
もし火葬になった暁には、なるべくふんばってCO2はあまり出さないで燃える所存である。
わたしの旅に何をする。/宮田珠己
ぜひぜひ読んでみてほしい一冊です。
ニューヨークの魔法は続く/岡田光世
岡田光世さんが描く大好きなニューヨークシリーズの第2弾です。
「こんな街!」と思うような出来事が起きてしまうのが、ニューヨークという街です。
階段で前を上る男性の背中に頭が触れ「このくそアマ!謝れ!」と怒鳴られたり。
満員電車で肩が当たった女性に「あんたの顔をぶん殴ってやるよ!」と睨まれたり。
ハンバーガーショップの店員にトイレはあるか聞いたら「下にあるって言ったでしょ!」と呆れられたり。
そんなことがすべて一度に起きてしまうのが、ニューヨーク。
しかし「こんな街はもうたくさん」と何度思っても、岡田さんがこの街を離れられないのには理由があります。
満員のバスで「あなたを乗っけることわけにはいかないけど、バッグだけならお安いご用よ」と重たいバッグを膝に乗せてくれる中年女性との出会い。
身をかがめてその女性と話していると、「そうやってしゃべる方が、よっぽど楽だろ」と座席を譲ってくれる若い男性との出会い。
たまたま嫌なことがあったときも、大きく深呼吸をして、次の瞬間、私はまた、新鮮な気持ちで地下鉄に乗っている。まるで、とけない魔法にかかったように。
ニューヨークの魔法は続く/岡田光世
ニューヨーカーの、他人を放っておけないお節介な温かさこそが、岡田さんにかけられている魔法なのでした。
岡田さんが描く時代のニューヨークは、地下鉄に乗れば芸人に出くわし、鳩が車内を飛び交い、歌手が歌っているような、今よりも人間臭い街でした。
その後、同時多発テロが起きたことで、街のセキュリティは強化されます。
しかし、街が安全になった一方で、先ほどのような光景はあまり見られなくなったといいます。
だからこそ、どこか懐かしく温かい気持ちになるのでしょうね。
岡田さんは今でも、あの頃のニューヨークの魔法は続いていることを確信しています。
今のニューヨークも、見知らぬ人と心の触れ合う瞬間に満ちていることには間違いがないからです。
あなたも一度、心温まるニューヨーカーのおせっかいに触れてみてください。
犬と旅した遥かな国/織本瑞子
織本瑞子さん夫婦と愛犬のマグが約300日という長い期間スペイン・ポルトガルを旅した記録です。
子どものいない夫婦にとって、愛犬マグはかけがえのない家族の一員。
周りから猛反対される中、マグを日本に置いていく選択肢は夫婦にはなかったといいます。
犬を連れて海外に行くには、たくさんの障壁がありました。
しかしそれ以上に、彼らが旅したスペイン・ポルトガルの人々は、そんな旅をおおらかな心で受け入れてくれたのでした。
巻末には、愛犬との旅に必要な手続きの記録を事細かに記してくれています。
これから愛犬との旅を考えている人にとって、きっと役立つ情報です。
もちろんワンちゃんを飼っていない人にも楽しめる一冊です。
旅の期間は、1~2年とざっくりしたもの。
長年の勤めに疲れた夫婦の、中休みのための旅でもあります。
彼らは、ホテルやアパートを移動しながら、ある時には気ままに海辺を散歩し、またある時にはスペインの文化、午睡(昼寝)を楽しみ、ゆったりと旅を続けます。
中休みのために日本を離れたことも、旅先にスペインを選んだことも、彼らにとって大正解でした。
時間の奴隷になることを嫌うスペインの風土が、リフレッシュには最適だったからです。
彼ら三人は、その後も半年間のスペイン旅に出たといいます。
重症な”スペイン病”を患ってしまったようです。
マグという犬に借りた視線で、世界を少し広げることが出来た旅。旅がこれで終りということには、多分なるまい。
犬と旅した遥かな国/織本瑞子
マグとスペインの魅力がたっぷりと詰まった一冊、ぜひ一度読んでみてください。
メキシコ旅行記ほげらばり/小林聡美
われらが小林聡美さん(女優)のメキシコ旅行記でございます。
タイトルの「ほげらばり」は「Forget about it」のことだそう。
「いいのいいの、気にしないで」って感じの意味らしいです。
本の内容はさることながら、メキシコ人の人柄も「ほげらばり」って感じで、愉快で、わたしは好きです。
滞在二日目、疲労困憊状態で大音量の「YMCA」を聞かされながら向かう古代遺跡…。
これまた疲労困憊状態で上る巨大ピラミッド…。
長旅で溜まった疲れと睡魔、メキシコの照り付ける太陽は、じりじりと小林さんの体力を奪います。
ピラミッドのてっぺんで仮死状態寸前のまま、ゆらゆらと風に吹かれる大女優の姿。
なんとも滑稽でシュールすぎる光景…。
そんな過酷な一日から始まったメキシコ旅ですが、その後、やっとの思いで着いたその日の宿は、
ウルトラドメスティック(よく言えばコロニアルもどき、悪く言えば国民休暇村)だったのでした。
メキシコと小林さんの相性、良すぎるのですが…。
小林さんには気の毒ですが、抱腹絶倒とはこのこと。
表紙をめくれば最後、腹抱えて笑い転げること間違いなしです。
女おとな旅ノート/堀川波
二人の子供の母であり主婦である堀川波さんが、女ひとり旅にでた記録です。
堀川さんが旅にでるのには理由があります。
昔と変わらない自分を再確認できるから。普段素通りするような小さな幸せに気付けるから。新しい自分を発見できるから。
そして、そんな旅の中で堀川さんが知りたいのは、普通の人のくらしです。
そこに住む人の暮らしや習慣にほんの少しでも触れることができると、嬉しくなるものです。
旅先のくらしでは普通なことが、日本では普通でないことってものすごく多いです。
”くらし”
良い旅をする上でおおきなヒントになりそうですよね。
旅の行き先は、フランス・ロシア・スウェーデン・ポルトガルとさまざまですが、堀川さんの女ひとり旅は、女子心をくすぐる”かわいい”で溢れています。
そして、このエッセイ自体も、堀川さんが描くイラストによって、これまた”かわいい”で溢れた一冊になっています。
旅は、しなくても生きていける「娯楽」ですが、旅に行けなければ見えないものもたくさんあります。
旅の終わりには、長かったような、短かったような、いつまでもそこにいたいような、早く帰りたいような、そんな気持ちになったり。
そんなとき、旅の初日を思い出すと、ずーっと昔のことのように感じたりしますよね。
それって、充実した日々を過ごせたということ。
家に帰ると、一週間ぶりに会う子供たちは少し大きくなったように感じ、たった一週間離れていただけの我が家が、懐かしく新鮮に感じられるのも不思議です。
みんなの笑顔を見たら、おみやげでぱんぱんにふくらんだスーツケースを同じくらい、わたしの心もしあわせでいっぱいになります。
女おとな旅ノート/堀川波
だから、母になった今でも彼女は旅に出ます。
堀川さんのまっすぐで飾り気のない文章を読んでいると、まるで絵本を読んでいるような心地よい感覚になるのもまた不思議です。
愛に溢れた温かい一冊を、ぜひ一度読んでみてください。
さいごに
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
旅、したいですね。
もうしばらくは、旅エッセイ漬けの日々になりそうな予感がしますが…。
おわりです。
それではっ。
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