どーも、めみぃです。
この数週間は、ニュースで見聞きした戦争の情報が常に自分の一部を占めている感覚があります。
画面越しに見る光景が、今本当に世界で起こっていることなのだと信じられないでいます。
あまりにも非現実的だからか、信じてしまいたくないからか。
自分が安全で守られた日々を過ごしている今も、世界には命への脅威に怯えている人がいるのだと思うと、悔しくて苦しいです。
でも、世界はいつでもつながっています。
そのことを確かに感じたくて、5冊のエッセイを読んでいました。
おすすめエッセイ5選
おひとりさまで!アロハ萌え/橋口いくよ
ハワイを愛してやまない著者・橋口いくよさんが挑戦した、ハワイへの1か月間”プチ”ロングステイの記録です。
それも、はじめての一人旅。
ハワイに到着するそのときまで、橋口さんの葛藤は繰り返されます。
”1か月間も一人でハワイに行って、楽しめるのか?”
1か月もの長期滞在になると、短期滞在では気にならなかったことに少し頭を悩ませたりもします。
ホテルに1か月間滞在したら宿泊費はいくらになる…?
毎日外食するわけにはいかないし、食事はどうする…?
1週間くらいなら湯舟がなくても我慢できるけど、1か月間は無理…。
けれど、いつの間にかそんな心配なんて忘れて、旅は進んでいきます。
1か月間もあると、短い旅では諦めてしまうような新たなことにも挑戦できたりします。
ハワイのエネルギーがぎゅっと詰まった香りに包まれながら、海辺をドライブ。
市場に出かけて新鮮な野菜を手に入れる朝。
昼からは、コンドミニアムのテラスでうたた寝。
ひとり旅はいつもより自分の感性が敏感になったりもします。
何倍も、ではなく、内側にどんどん染わたるという感じなんです。ひとり旅はどこまでも染みわたるように楽しいし、ひとりごはんはどこまでも染みわたるように美味しい。
おひとりさまで!アロハ萌え/橋口いくよ
ただひたすらに歩いているだけでも感動は尽きないし、一日があっという間に過ぎ去ってしまう。
人と一緒に旅をすると、楽しいことが何倍にも楽しく感じられるなんて言いますが、ひとり旅はまたちょっと違うようです。
橋口さんの体験を通して、読んでいるこちらもハワイのもつ不思議なエネルギーを感じられるおすすめの一冊です。
キウィおこぼれ留学記/小林聡美
著者で女優の小林聡美さんが、長年憧れながら謙虚にも諦めていた”留学”の夢を叶えてしまうお話です。
その留学期間は、なんと10日!
1週間の学校生活と少しの観光を本にしちゃいましょー!という担当者さんからの提案だったのでした。
イギリス、カナダ、アメリカ、オーストラリア…。
そんな留学先候補の中から選ばれたのは、ニュージーランド。
急に決まった留学でしたが、飛行機の眼下に、どこまでも続く緑豊かな大地を目にするとニュージーランドに来たのだと実感が湧いてきます。
荷物にようかんを忍ばせてドキドキで通過した税関(その真相は本書でぜひ…)。
世界のスタバでエスプレッソをかっ食らう朝。
食中毒でぐったりの中、ニュージーランドで熱い日本茶を飲みながら、お父さんから手渡された美しい日本の写真集を眺める謎の時間…。
情けなさとホームシックで一瞬泣きそうになったが、それよりも風にあたってさらに具合が悪くなってきた。そんなワタシの状態を知ってか知らずか、お次は立派なニュージーランドの写真集を渡された。
キウィおこぼれ留学記/小林聡美
清く正しく善良すぎるキウィ魂を持つホストファミリーのもとでのホームステイは、小さな事件?の連続です。
10日という留学期間は、「留学なのか見学なのか分からん」と小林さんも口走っちゃってるように、さらっと読み終えてしまう内容量ですが、
その中身は非常~~~に濃いものに仕上がっております…。
ニュージーランドの真の魅力をたっぷり堪能できるおすすめの一冊です。
それからのパリ/雨宮塔子
次にご紹介するのは、アナウンサーとしても知られている雨宮塔子さんのエッセイ。
雨宮さんが「のりしろのような時間」と表現する、そんな時間をパリは生み出します。
生産的とは言えないけれど、その時間が存在するからこそ、他の時間が一層鮮やかさを増すようなそんな時間がパリにはあるのだと言います。
これといった目的もなくパリを歩く。なにを見るわけでもなく瞳に街を映す。なにかを考えるのではなく、心に入ってきたものを思う。
それからのパリ/雨宮塔子
そんな「のりしろ」の時間に生きたパリでの独身時代。
対して、二人の子供を抱え「実」の時間に満ちた日々。
そんなふたつの時間を行き来する雨宮さんの生活が綴られています。
パリを語る上で欠かせない「食べる」こと。
日々を彩るマルシェの新鮮な食材たち、季節の移り変わりを知らせてくれる旬の食材たち。
エッセイを読み進めながらそんなパリの朝を想像しては、心が躍ります。
そして、食の次に欠かせないパリの要素「装うこと」。
パリにはお洒落な人が多いイメージですよね。
けれど、ある意味では日本の女性の方がよっぽどおしゃれにしているようです。
よくジムで見かけていた最高級のカシミヤセーターを身にまとった女性。
その生活ぶりが雨宮さんも気になっていました。
ところがある日、バスの中からその女性を見かけて、そんなことはどうでもよくなったと言います。
彼女は、通りの向こうから駆け寄ってきた娘を、カシミアに靴底の泥がつくのもお構いなしに力強く抱きしめたからです。
子供と思いきり遊ぶために汚れても良い服装をする、という考え方ももちろん素敵ですが、
この女性のどんな瞬間にもオシャレを楽しむ姿には、自分のスタイルを貫くかっこよさがあります。
ゆるぎなく貫き通される自分らしさ、母であり妻であり恋人である彼女たちがそれぞれの役割を果たすのも、
誰かのためではなく、自分自身のためなのだという強い意志がパリジェンヌの美しさなのだと強く納得したのでした。
世界一周ビンボー大旅行/下川裕治・桃井和馬
貧乏旅行のバイブル「12万円で世界を歩く」で鮮烈のデビューを果たした作家・下川裕治さんと、フォトジャーナリスト・桃井和馬さんの2度目の世界一周旅行を綴った一冊です。
1988年に無事世界一周を成し遂げたふたりが、ふたたび世界一周の旅に出たのは、1995年1月24日。
最初の旅から9年が経っていました。
船と列車とバスに揺られ、28日間をかけて世界を一周したその記録は、そのすべてが新鮮そのもの。
「ビンボー大旅行」と銘打っている通り、まさに節約ビンボー旅行。
ですが、そんな旅は、各国がもつ貧しさという現実と真正面から向き合っていました。
雪が吹きすさぶプラットホームで、凍ってしまったパンを売るおばさんたち。
国境の駅で、警官に見つからないようコートに潜めた雑貨を売る人々。
そこで行われている売買は、彼らが明日食べるパンを確保するためのギリギリの戦場のようでもあります。
ただの観光では目にすることのできない、それぞれの国のリアル。
ベルリンの壁崩壊、天安門事件。
9年という年月の間に変化を遂げた世界の情勢。
私の世代には、授業で習うような世界を揺るがす歴史的なできごとが現実味を帯びて迫ってきます。
そこからさらに約30年が経過した現在の世界の状況は、少しは良くなっているのかな…。
ビンボーな旅は格闘技だった。だが、「ビンボー」というキーワードが、世界を、そして社会を見据える最高の手段で、贅沢であることも知った。
世界一周ビンボー大旅行/下川裕治・桃井和馬
モンキームーンの輝く夜に/たかのてるこ
著者のたかのてるこさんは、「世界中の人と仲良くなれる」と信じ、各国を駆ける旅人です。
会社勤めをする傍ら、有給休暇を取って旅した国の一つが、このエッセイの舞台にもなっている「ラオス」でした。
ラオスの首都ビエンチャンに到着すると、南国特有のムア~っとした肌に張り付くような熱気。
アジアの大抵の国では、空港を出た瞬間にタクシーやトゥクトゥクのドライバーたちが「我こそは!」と押し寄せてきますが、今回は気配がしません。
覚悟を持って空港を出たたかのさんでしたが、そんな心配は必要ありませんでした。
ラオス自由で「ゆるゆる」な国だったのです。
街で出会う人は皆、無垢で親切。
貧しいけれど思いやりに溢れた幸福な国でした。
そんな国で運命的に出会った純真でまっすぐな現地人「シノアン」とたかのさんとの恋愛模様には、きゅんきゅんせずにはいられません。
そして、一番に思うのは本当の豊かさとは何か、ということ。
経済や物価って何なんだろう、と。
私たちはラオスの物価を安いと思えるし、旅にも出ることができる。
けれど、ラオスの人々にとって日本に来ることは決して容易なことではないんですよね。
だからといって日本人が皆幸せだとは決して思えないし、ラオスの人々は皆幸せに満ちているのだから、不思議なもんです。
ゆるやかに流れていく時間や、笑みのたえない人びとの顔が、どういうわけか懐かしくて懐かしくて仕方がない。日本で流れる時間が、まだ今みたいに速くなかった頃の記憶が、私の遺伝子に刻まれているせいなんだろうか。
モンキームーンの輝く夜に/たかのてるこ
さいごに
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
世界の混乱が終わりを迎え、皆で喜び合えるときが一刻も早く訪れますように。
そして、わたしは今日もエッセイを読みます。
それでは、またお会いしましょう~!
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